生活習慣病
生活習慣病とは
食の欧米化が進む中での偏食あるいは過食、慢性的な運動不足、酒やタバコなど嗜好品の過剰摂取等、日頃より続く不摂生な生活習慣、あるいはストレスなどによる環境要因が主な原因となって発症する慢性疾患を総称して生活習慣病と言います。代表的な疾患としては、糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)などがあります。
これらの病気の多くは、発症初期から自覚症状がほぼ現れません。そのため病状を進行させやすく、気づくことなくそのまま放置の状態を続けると生命にも影響しかねない病気を発症させる可能性もあります。そのことからサイレントキラーとも呼ばれています。
健診結果などを要チェック
自覚症状が現れないと言っても、健康診断などを定期的に受診していれば血液検査などから、生活習慣病の可能性が高い、もしくはその予備群であるといったことを健康診断などで指摘されることがあります。このような場合は、自覚症状が出ていなくても一度受診するようにしてください。
当クリニックでは、生活習慣病の患者さん、もしくはその予備群と指摘された方を対象とした予防や治療として、同疾患の患者様や予備群の方の管理(糖尿病患者様の方では血糖値のコントロールなど)や日頃の習慣を見直す生活指導(食事療法・運動療法)のアドバイスもおこなっております。健康診断などで血圧が高い、血糖値や脂質などの数値で異常との指摘を受けた方は一度受診してください。
主な生活習慣病
糖尿病
糖尿病とは、慢性的に血糖値が高い状態にあることを言います。この血糖とは血液中に含まれる糖分(ブドウ糖)のことで、血糖値はその濃度を数値で表したものです。正常な状態であれば、膵臓から分泌されるホルモンの一種インスリンが機能するので、血糖値が食事などをしたことで引き上がったとしてもインスリンが働くことでその値は正常に保たれます。
しかし、このインスリンが何らかの原因で機能不全を起こし、同ホルモンが全く分泌されない、あるいは分泌しても質が伴わない、量が少ないという場合に血糖値のバランスは保てなくなり、多くは血糖値が高いまま維持されるようになるのです。
1型糖尿病と2型糖尿病
インスリンの出が悪くなる原因は主に2つあります。ひとつはインスリンを作る膵臓のβ細胞が自己免疫反応などで破壊されインスリンが全く出なくなる1型糖尿病です。もうひとつは、全糖尿病患者の9割以上を占めるという2型糖尿病で、一般的に糖尿病と呼ぶ場合にはこちらを意味することが多いです。この2型糖尿病は、日頃の不健康な生活習慣(過食・偏食、運動不足、飲酒・喫煙、過剰なストレスなど)などが原因となって発症します。
上記の原因によって血糖値の高い状態が続くと、血管は常にダメージを受け続けます。そのことで、まず細小血管から障害を受けて糖尿病による合併症※(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害 など)を発症するようになります。さらに大血管にも障害が発生すると脳卒中や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)を招くようになります。
糖尿病の発症が確認されたら、まず合併症を防ぐことが大切です。そのため血糖値のコントロールが大事になります。当クリニックでは、血糖コントロールの管理や日頃の生活習慣を改める指導も行っています。
- 合併症:ある病気が元になって起こる、別の病気や症状
高血圧
持続的に血圧が高い状態が高血圧です。日本高血圧学会によれば、外来時の血圧測定で最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上の場合に高血圧(症)と診断され、どちらか一方でも超えていれば、その対象となります。
自覚症状が現れにくいので放置しやすい疾患ですが、定期的に血圧を測定していれば高血圧の状態にあるか否かはある程度判別できます。なお高血圧の状態のままだと心臓から血管へ血液を送る際にその分大きな負荷をかけなくてはなりません。そうなると人間の体は、その圧力に血管が耐えられるよう血管壁を厚くしたりするので硬直しやすくなり、やがて動脈硬化を招くようになるのです。さらに自覚症状がないことから放置が続くと心筋梗塞や脳卒中をはじめ、腎不全、閉塞性動脈硬化症といった合併症のリスクも高まるようになります。
高血圧の発症については主に2つの原因があるとされています。1つは原因不特定の本態性高血圧で、日本人の高血圧患者の90%以上の方がこの症状になります。ちなみに原因不特定とされていますが、遺伝的要素、肥満や過食、食事の際の塩分過剰摂取、飲酒・喫煙、運動不足などが考えられています。もうひとつは、他の病気によって引き起こされる2次性高血圧です。この場合は、腎機能低下、睡眠時無呼吸症候群、薬剤による副作用などが原因として挙げられます。
脂質異常症
脂質異常症とは、血液中の脂質(LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライドなど)等)の濃度が慢性的に高い状態、あるいはHDL(善玉)コレステロールが少ない状態を言います。かつては血中脂質の濃度が高い状態のみを対象としていたので高脂血症と呼ばれていました。
この病気の特徴ですが自覚症状がみられることは、ほとんどありません。多くは健康診断などの血液検査等で指摘されて気付く場合が大部分です。なお脂質異常症と診断される数値は次の通りです。
- LDLコレステロール値≧140mg/dL
- 中性脂肪≧150mg/dL
- HDLコレステロール値<40mg/dL
合併症に注意
コレステロールは、細胞膜・ホルモン・胆汁酸をつくるもとなので、そもそも体に必要なものです。ただ、これが必要以上に増えると、血管内にコレステロールを蓄積させ、やがて動脈硬化を招くようになります。放置がそのまま続くと、血管が狭まる、詰まるといった状態になります。これが脳の血管付近で起きれば脳梗塞、心臓付近の血管で起きれば心筋梗塞といった合併症を引き起こします。
発症の原因は、不摂生な生活習慣(偏食・過食、運動不足、肥満)、遺伝的要因、糖尿病など他の病気や服用している薬の影響などが考えられています。ただ、コレステロールは少なすぎてもリスクがあって、免疫細胞が弱くなり、免疫力が低下するようになります。その結果、様々な病気を招くようにもなります。